修論「高齢者ケアに関する政策決定過程をめぐるバイオエシックス的考察」注釈
(終章:高齢者ケアに関する政策決定過程における自己決定の実現に向けて)
213 老人福祉法第1条 (目的) "この法律は、老人の福祉に関する原理を明らかにするとともに、老人に対し、その '心身の健康の保持及び生活の安定のために必要な措置' を講じ、もつて老人の福祉を図ることを目的とする。"
214 柴田嘉彦著:Ibid., p. 81
215 新藤宗幸:1996,『福祉行政と官僚制』, 岩波書店, 東京, pp. 46-52
216 本論中において上述したように、現在、老人ホーム等の施設への入所措置権限は、都道府県、市、福祉事務所を有する町村に移管するものと規定されている。
217 國武輝久:Ibid, pp. 94-95
218 総理府:"地方分権推進委員会第5次勧告" (last modified Apr. 26, 1999) <http://www.sorifu.go.jp/council/bunken/5ji/>
219 総理府:"地方分権推進委員会第4次勧告" 'はじめに' (last modified Apr. 30, 1999) <http://www.sorifu.go.jp/whitepaper/bunken/4ji/hajime.html> なお、同文書では、「調査審議の過程で地方公共団体側から提出された要望も、その殆どが国の関与に関する問題であった」と言及されている。
220 兼子仁, 村上順:1994,『地方分権』, 弘文堂, 東京, pp. 84-85
221 総理府:<上掲URL>
222 本論「1-2-3. 高齢者ケアにおける正義原理の捉え方 」にて筆者言及。これについては、個人の自律・それを取り巻く家族の自律・さらに、それを取り巻く地域社会の自律、といった具合に、「自律」にも各社会的次元が存在するのではないか、という疑問が生じてくる。自律に基づく自己決定の次元の存在をめぐってもまた然りである。こうした疑問に明確な解答を与えるには、一層広範な議論が必要であるだろう。とりあえず、本論では「地域社会の自己決定」なるものを、当該地域に居住する個々人の主体的意思間のコンセンサスとみなすものである。
223 市町村独自の介護サービスの特別給付の在り方に関して、「上乗せ・横出しサービス」の継続および整備・拡充に伴う各市町村の単独による負担も避けられないため、保険給付費の増大は必至で、超過負担がますます重くなると指摘する議論もある (川村匡由:Ibid., pp. 105-108)。しかしながら、同議論は「介護保険では市町村が積極的に介護サービスの充実に取り組めば、その分、財源も入ってくる仕組みになっている:との見解を示している。なお、介護保険のみでは、全ての高齢者の自律性に寄与し得るサービス供給が為され得ないだろう。これには、やはり前章で述べたように、地域のケアマネジメントの効率的な運用が期待されるところである。
224 総理府:"地方分権推進委員会第4次勧告 (平成9年10月9日)" '第1章 機関委任事務制度の廃止に伴う従前の機関委任事務の取扱い' (last modified Apr. 30, 1999) <http://www.sorifu.go.jp/whitepaper/bunken/4ji/1.html>
225 平成元・6・30・法律64号/改正平成2・法律58号/改正平成9・12・17・法律124号
同法は「民間事業者が公的な保健サービス及び福祉サービスとの連携の下に、地域において保健サービス及び福祉サービスを総合的に提供する」一群の施設の整備を行うことを促進する措置を講じることで、高齢者の安寧実現のための地域社会の形成に資することを目的とするものである。
226 総理府:<上掲URL>
227 <同上>
228 厚生省は、老人保健施設の開設・変更許可(46条の6)/老人保健施設に対する設備の使用制限等の命令(46条の12)/老人保健施設の管理者の変更命令(46条の13)/老人保健施設に対する業務運営の改善命令等(46条の14)/老人保健施設の許可の取消(46条の15) を、都道府県の自治事務とした。
229 総理府: <上掲URL> なお、同勧告時、厚生省は「老人保健施設の開設許可及び指定老人訪問看護事業者の指定における国の関与のあり方については、社会福祉の制度体系全般の見直しを行うに際し、社会福祉関係の分野と同じ考え方のもとに別途検討する」とした。
230 同上, p.32-33 なお、同書は、こうした政策上の論理が生まれた主要な要因として、今般の行財政改革が、国の財政危機を背景として、補助金の削減、整理による国家負担の削減が至上課題とされたことを挙げている。しかしながら、国の福祉補助金 (=負担金) の削減には、当然に、地方自治体の財源の増大・強化 (地方交付税交付金の増額等の「補助金」の一般財源化) が対応されなければならない。同書は、この点が十分に補われないまま、国の財政責任が曖昧になったことを指摘している。
231 この2種類の意思決定のレベルの中間的存在として、都道府県の意思決定レベル - 例えば、介護保険制度において、「国」から介護保険事業支援計画作成上の助言を得た「都道府県」が、保険者である「市町村」を支援・指導する際の意思決定等、が考えられる。また、「都道府県」の意思決定が、地域のサービス事業者及び施設の指定・指導等に影響を及ぼす意義において重要なものであることは言うまでもない。
しかしながら、本論においては、サービス需給の機能と責任の在り方を明確に捉えるため、敢えて単純化された「国」-「地域 (市町村ないし公共団体)」-「ケア・サービス当事者個人」の関係性を取り上げるものである。
232 立岩信也:"自己決定→自己責任、という誤り - むしろ決定を可能にし、支え、補うこと" (福祉展望23号, 東京都社会福祉協議会, 1998) <http://itass01.shinshu-u.ac.jp/tateiwa/0w/ts01/1998a12.htm> (last modified Sep. 13, 1999)