トランスセクシュアルをめぐるバイオエシックス的考察
やおい小説と性転換手術について
J94B075-4 関根恵美

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序章 -はじめに-
 1998年10月16日、日本国内で初めて「性同一性障害」患者に対する性転換手術が埼玉医大総合医療センターで行われた。私は以前から性転換について関心を抱いていたので、「性同一性障害」を解明する一つの手がかりとして、「やおい小説」とトランスセクシュアルの関係について考察することにした。「やおい小説」という男性同性愛を主体とした小説の書き手たち (主に女性) の中にある男性性に焦点を当て、彼女たちの心の葛藤、自己否定、また彼女たちをそこまで追い込んだ、性に対して厳格な社会システムについてバイオエシックス的に考察し、最後に『性同一性障害に関する答申と提言』のガイドラインに則しつつ、性同一性障害の人々の展望、社会に対する要望を考察する。

I. 「やおい小説」とトランスセクシュアルの関係について
第一章 「やおい小説」とは何か

 「やおい小説」とは何か、「やおい」の意味、「やおい小説」の成り立ち、「やおい小説」をとりまく社会環境について。

第二章 「やおい小説」の現場
 「やおい少女」と呼ばれる読み手・書き手の心理、「やおい小説」の具体的内容について。

第三章 「やおい」的嗜好とは何か
 「やおい」的嗜好とトランスセクシュアルとの関係、トランスセクシュアルについて。

第四章 トランスセクシュアルと<現実>
 「やおい小説」の書き手・読み手の「もう一つの現実」である自己自身への心の葛藤やその表現としての「やおい小説」について述べる。

第五章 やおいとトランスセクシュアルについてのバイオエシックス的考察
 やおいとトランスセクシュアルとの関連で、「やおい」的嗜好の持ち主たちのこれからをめぐるバイオエシックス的考察。

II. 性同一性障害と性転換手術について
第六章 『性同一性障害に関する答申と提言』(ガイドライン) について

 ガイドラインの内容、性同一性障害について、日本の性転換手術のこれまでの流れ、諸外国の状況などを考察し、展望を述べる。

終章 まとめ


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