バイオエシックス夏期特別ゼミ研修
(於ワシントンD.C.)から得たもの (1)

Orientation of the Seminar in Washington D.C.
(Prof.Rihito kimura)
Welcome Greetting
(Dr.Leroy Walters)

 1996年8月26日、ついに私たちはバイオエシックス発祥の地ともいえるジョージタウン大学の教室(Healy;104)に入ることができました。そこで木村利人先生のオリエンテーション、及びKennedy Institute of EthicsのDirectorであるDr.Leroy Walters先生のWelcome Greetingがありました。
 木村先生やLeroy Walters先生の話において、ジョージタウン大学の学風が極めて開かれたものであり、それぞれの専門的研究を司る学部間の連携が非常に円滑に行われていることを私は知りました。まさにジョージタウン大学はリベラルな気風に満ちた「学際性」豊かな大学であると実感し、バイオエシックスの風がここから吹き始めたのも、なるほどよく分かるような気がしたのでした。


バイオエシックス文献資料図書センター
-バイオエシックスライン入門-
(KIE Librarian and Staff membersの方々)

 続いて、バイオエシックス文献資料図書センター(Healy Building)においてKIE Librarian and Staff membersの方々から、文献資料の検索方法、主にバイオエシックスラインについて懇切丁寧に教えて頂きました。ジョージタウン大学の図書館は思っていたよりは小さいものでしたが、落ち着いた雰囲気とぎっしり詰まった蔵書群には、やはり風格と正当派の伝統を感じざるを得ませんでした。
 ここでの文献検索、バイオエシックスラインに関する指導において、私はインターネットの効用性と重要性を再認識したのですが、私たちもゼミ独自のホームページを作り、自分たちの研究内容等を世界に向けて発信してみるのも面白いのではないかと考えたりしました。ホームページをもつことは、すなわちインターネットのネットワーク上に参加・参入することであり、志を共にする世界中の友人達と「視聴覚的に」(E-Mailよりもはるかに具体的に) 情報伝達が行えるようになるということなのです。
 現在、私自身は個人的にホームページ (作り方は一度慣れると、極めて簡単ですし、面白いものです) をもっているのですが、ゼミ独自のものは存在していません (【注1】 このレポートを提出した時点では、確かに現在のような本格的なホームページ・プロジェクトは存在していませんでした)。確かに、学部生レベルではホームページやインターネットはさほど重要なものではないかも知れません。しかし、少なくとも大学院生レベルにおいては、是非バイオエシックス・ゼミならではのホームページを創設し、新しい情報伝達手段であるインターネットを積極的に活用する必要があると痛感したのでした (【注2】 しかし今振り返れば、実にこの時の提案がきっかけとなって、現在のような独自のサイバースペース (http://kenko.human.waseda.ac.jp/rihito/) を学校側から用意して頂くことができたわけです)。
 従来のいわゆる書物による「紙のメディア」は勿論のこと、著しく発展を続ける電信伝達メディア、特にコンピュータ・メディアに日頃から親しんでおくことは、バイオエシックスを学ぶ者、絶えず世界を意識している者にとっては必ず有為なこととなるはずです。無論、素肌感覚による人と人との本質的な意思伝達は最重要視されるべきですが、常に人間の文明とともに啓蒙されてしかるべきバイオエシックスを学ぶ者にとって、コンピュータ・メディアの積極的活用は今後、必須課題となるといっても過言ではありません。バイオエシックスにおいても高度情報化は、将来的に必要条件となり得るものなのです。進取の精神はここでもいかすべきであると考えました。


ジョージタウン大学ロンバルディ癌研究センター
-癌コーオーディネータの役割をめぐって-
(Jennifer Volkmann先生)

 午後、私たちはジョージタウン大学ロンバルディ癌研究センターを見学しました。全米には同様の研究機関が27あり、ロンバルディ癌研究センターは、この地域における患者の「Care」「Reserch」「Education」といった「Comprehensive Care」を行うことにおいて、重要な役割を果たしていました。
 この研究センターで私が何よりも印象に残ったことは、やはり「Patient Relations Co-ordinator」という専門家の存在です。これは医師でも看護婦でもセラピストでもなく、より患者側に近い立場から、CommerceやInsurance等の様々な問題解決にあたる人たちです。日本でもSocial workerの役割はますます重要なものになってきていますが、アメリカにおいては、さらに社会的弱者の側に立った「Specialized Social worker」、いわゆる Medical-Social worker等、それぞれのニーズに合うように細分化された、効果的なシステムが導入されているように感じられました。 ここでは、Medical directorは存在していても、Managementは医師が行っていない(Non-Medical Administrator)という事実も印象深かったです。

(早稲田大学大学院人間科学研究科 かわはらなおと)

次頁、「ジョージタウン大学ケネディ倫理研究所&医学部病院新生児センター訪問記」に続く


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