次に私たちはHMO(Health Maintainance Organization)の一つであるKaiser Permanenteを参観しました。ここではBioethics Comiteeの先生方に親しく説明をして頂きました。
このKaiser PermanenteはNon-Profit Organizationとして、医療保険会社が創ったClinicで あり、日本では全くみられない新しい医療システムが下の図2のように実践されているところでした。
Kaiser Permanenteでは、会員のPre-existing illnessや遺伝情報なども一切問わず、医療費にも上限は設定されていないとのことでした。しかも、ここはNon-Profit Organizationです。ここまでして、うまくManagementを行うことが出来るのか、私は当初、疑問視していました。
しかし、Kaiser Permanenteでは「Wellness and Preventive Health Care」をコンセプトに、会員の健康状態を日頃からチェックする「予防医学」によって、病気に罹る人を減少させ、Organization側の負担を緩和していることが分かりました。
さらに、日本のように患者が直接、医師に金を支払うのではなく、保険会社から医師に金が支払われるシステムのため、Organization側にとっても、またMember側にとっても無駄な経費は削減され、効率の良い医療を行うことが出来るということが分かったのでした。
日本の医療保険システムは患者の「病気」によって成り立っている、いわば「負のシステム」です。しかし、アメリカの場合は患者の「健康」によって前向きに運営されている「正のシステム」であると感じられました。
(早稲田大学大学院人間科学研究科 かわはらなおと)
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