遺伝子治療、人工授精、無脳症の赤ちゃんの臓器移植と、いまや医学はいのちの誕生にまで手を加えるようになってきています。
それが特定の人びとによって管理されるとしたら事態は重大です。
クローニングにしても、人間に応用できる技術を開発しようと、国際的な活発な研究と開発が進められています。
また、体外受精のさいの余った胚からの「ES 細胞 (ヒトの胚性幹細胞)」と呼ばれる、別名「万能細胞」を利用することによって、白血病やパーキンソン病など難病の治療や、人間のさまざまな組織や臓器がつくれる可能性があるといわれています。
科学技術庁は、その研究を条件付きで認め、そのための指針をまとめる作業に入りました。
しかし、本当に公開された討議がなされるかどうかを、私たちは注意深く監視する必要があります。[本文より]
|
| |
遺伝子が汚染されている・・・
自分のいのちを自分の手に取り戻す
男女の産み分けや人工妊娠中絶は是か非か
知る権利と知らないことを選択する権利
遺伝病は自分の責任ではない
障害のある人を雇うのは企業の責任
遺伝子治療を真剣に考えるときがきた
生命操作の危険とクローニング研究
すべての子どもが健康で生まれるとは限らない
バイオエシックスの原点はここにある
遺伝教育と専門家の養成を急げ
出生前診断は差別につながる危険がある
障害をもった人が外で自由に歩ける世の中に
人間は動物的な意味での質的な存在ではない
障害者によって豊かにされる社会
無脳症の子どもの臓器移植が日本でおこなわれていた
クローン人間を誕生させない
|
高齢社会にどう対応するか
高齢者がボランティアの中心に
戦闘的な高齢者グループ「グレーパンサーズ」とは
自ら進んでサービスにつとめる
おじいさん、おばあさんという呼び方がよくない
知人を呼んで老人ホームでパーティーを開く
大きな政治力をもつアメリカの高齢者
なかなか普及しない高齢者の権利宣言
高齢者の生きがいと健康づくり
生涯現役社会の実現をめざす
年齢にこだわらない社会をつくる
老後も質の高い人間関係を
旧来の固定観念を打ち破る
定年後は自らの意思で生き方を選ぶ
これからの社会と高齢者の役割
|
患者が医学の実験材料にされていた
ナチスの人体実験データが宇宙開発に使われている
日本の医療ジャーナリズムにも問題がある
日本でも定着してきたインフォームド・コンセント
手術をするかしないかは患者が決める
病気は患者自身が治すもの
いつもオープンな医療システムを
システムとして患者に正しい情報を公開する
東洋医学や遺伝子解析が医学のあり方を変える
看護教育にバイオエシックスのコースを
看護専門家が心がけておかなければならないこと
患者の権利はどこまで守られているか
患者と医療従事者は対等でなければならない
がん告知はどうあるべきか
世界の医療はどこへ向かうのか
|
第 4 章「死」 - いのちの最後を選択する時代がやってきた |
医療不信から臓器移植法の成立へ
臓器提供者の意思を尊重する
いのちが不安定に揺れ動いている
脳死を認める方向に大きく踏み出した理由
殺人者は生命維持装置を止めた医者?
脳死と臓器移植を結びつけて考えないこと
なぜ「死の自己決定」が問題になっているのか
死なせないのが医療ではない
人生の最後は苦しみのなかで迎えたくない
スイスで入院したら最初に牧師がやってきた
生命・科学技術と調和を保つ
患者を蘇生させないケースもある
いま、死の問題をグローバルに考える
自分らしい死に方を選択できる時代が到来した
死にゆく人びとのケアはどうあるべきか 新しい時代の患者・医師の関係をつくるために
|